概要
経営の様々な問題や課題の解決を考えるとき、最新の技術や動向、事例は知らなくても、ITが活用できる基本的なパターンは知っておいた方が良い。ITは業務のあらゆる分野で適用可能な可能性を秘めているからである。
商品知識をeラーニングで教育、という手段
店員の商品知識の豊富さは、店舗で質の良い接客を行なう基本である。商品点数が少なく、入れ替えサイクルが速くなければ、OJTや研修によっても店員の商品知識レベルの維持は可能だが、商品点数が多く、入れ替えサイクルが速い家電量販店やドラッグストアなどではとても追いつかない。こんな場合に、eラーニングによって商品知識を教育し、習得度合いを管理者が把握できるようになるなら、接客レベルの向上が見込める。
ITを使った解決策検討のメリット
もちろん、週に何度か店内で勉強会をするなど、ITを考慮しない解決策の方が良い場合もある。しかし、接客レベル向上のための検討過程でeラーニングの活用が検討対象にすらならなかったのでは、どちらが良いのかは判断できない。「eラーニングによる解決策も検討してみよう」という発想になれるかどうかが大切なのである。
ITは3つの意味で、経営や業務の課題解決の検討時には考慮に値する。
一つめは、ITは速い進化の途中なので、差別化のための、未だ誰もやっていない活用をする余地があることだ。二つめは、市場もIT化が進行中なので、購買履歴の提供など、一定の顧客対応はITを使って付加価値を高めることができること。三つめは、自社専用の自動化処理を作ることができることである。
IT通になる必要はないが、ITがどんな道具なのかは心得ておくべき
企業活動の全領域において、ITの技術動向や詳細、適用事例、どんな製品があるかなどを把握しきることはIT部門の専門家でも不可能だ。ITを利用する企業においては、その技術や製品の知識が必要になった際に具体的に調べれば足りるし、現実的にはそれ以外の方法はない。
ただ、解決策を検討する際にITがどのような可能性を持っている道具なのかは常に意識して取り組む必要がある。
ITが活用できる3つの基本的なパターン
ITはICTともいわれ、情報技術(Information Technology)と通信技術(Communication Technology)の融合した概念である。次の大きく3つの状況に適用可能であると知っておくことが重要である。
一つめは、自動化である。コンピュータは元々、大量の計算を人がやらずに済ますための機械であり、仕事の手順、条件を整理すれば自動化が可能だ。大量作業、深夜作業など、人手でやることがネックとなるようなら自動化を考えるとよい。
二つめは、コミュニケーションだ。基本的には通信回線でつながった相手との意思疎通のことである。近年では、ITを人的労働の負担軽減をする省力化だけでなく、販売やサービスにも適用することが多くなった。インターネットの普及や動画、画像、音声処理技術の進歩により、ITのコミュニケーション支援能力が格段に高まったからである。
三つめは、蓄積と検索である。グーグルはキーワードを入れて検索ボタンを押すと瞬時に該当サイトを表示してくれる。人間にはとても無理だ。同様なことは、会社で利用するデータベースでも実現されている。
「使えるIT」と「未だ使えないIT」の混在はあるが検討価値は十分ある
理論上は上記のことができるとはいえ、簡単にできる場合とできない場合、安いコストでできる場合とできない場合があるのは言うまでも無い。例えば、コミュニケーションは相手と同じ手段でする必要があり、こちらがコンピュータで相手が電話では、余りうまくいかない。
しかし、「使えるIT」は続々と増えているし、解決策にうまく適合すれば、企業に大きな効果をもたらすものであることは間違いない。重要なのは、経営課題の解決策を考える場合には、一度はITの活用を選択肢のリストに加えてみることである。調べて見て現実的でないと思えばやめればいいのだ。
自社のIT状況を理解しよう
経営課題の解決に携わる方々は、上記のようなITの可能性を踏まえて、一度、自社のITの活用状況について理解するように努めてみてはどうだろうか。IT以外の分野も含めた、経営課題検討時のチェックリストを作って、検討成果に含めるようにしてみるのも良いかもしれない。
(執筆:山田一彦)
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