概要
論理的に厳密に書かれたコンピュータプログラムは一般人には難しすぎる。先輩の書いてくれた業務マニュアルは省略が多くて説明が必要だった。こんなとき、業務フローは業務の整理と理解にちょうどいい手法だ。
業務を整理する手法あれこれ
業務を整理する手法は沢山ある。業務マニュアル、業務機能階層図、業務記述書、データフローダイアグラム(DFD)、DMM(ダイアモンド・マンダラ・マトリックス)などは、今の業務を整理し標準化するための手法である。業務の整理や標準化は情報システム設計の前提にもなる。DFDはそのために生まれた手法である。UML、IDEF 0/3、BPMNは情報システム設計のための厳密な定義ができるプロのための手法だ。
業務フローは「ちょうどいい」手法
そんな中で、業務フローは、一般人でも少しの訓練で、日常の業務を図式化してマニュアルにも使えるほかに、情報システムの設計にもある程度活用できる「ちょうどいい」手法である。特別なソフトウェアがなくとも、EXCELがあればいい。現場の業務の整理と文書化は業務フローと業務マニュアルがあれば、たいていはこと足りる。
私の業務フローとのつきあい
私が業務フローを押す理由を、経験から少し述べてみたい。
私は元々コンピュータメーカーでシステムエンジニアとして社会人人生を始めた。システム設計のための業務の整理手法としてはDFDを習ったが、このときは、とりあえず「こういうもの」として受入れた。
その後、職場の業務マニュアルのなかで業務フローの一種といえる産能大式業務フローチャートに出会い、これは業務の流れが分かりやすい凄い手法だと思った。ただ、記号の種類が多く、読むのにいちいち凡例を見なくてはならず、面倒だった印象がある。
業務フローが「使える」と思ったのは、(株)データ総研が作ったノウハウ体系であるPLAN-DBに含まれる業務フロー手法を使ったときのことである。この手法では、業務フローに記載する情報システムの画面や帳票と、実際の画面・帳票は1対1対応させる、という原則がある。この原則を貫くことで、業務の整理である業務フローと、情報システムがしっかりとつながるのだ。 その後、コンサルタントとしての仕事を始めてからも、業務の整理に関する仕事は多かったが、業務フローの手法とメリットの生かし方を習得しておいたおかげで、どのお客様にも満足していただくことができたのである。
- 業務フローの例


業務フローの特長と活用効果
業務フローの特長の最大のものは、サンプルのように、菱形などを使って、業務処理の内容を条件で変えることを記述できることだ。そのほかにもスイムレーンと呼ばれる組織の枠を設けることで、業務処理の流れと組織の関連がビジュアルに把握できる。
業務フローをうまく使うことで、業務のマニュアルのレベルアップ、業務改善、システム設計に活用することができる。そして、業務標準化に関する当サイトの記事でも述べた、業務の属人化回避、生産性向上などの目的で業務を整理することができる。
業務フロー使用上の注意
このような経緯から、私としては業務フローの有効性は確信しているのだが、一つだけ注意しなければならない課題があると思っている。それは、記法、つまり書き方のルールが、アバウトなものから厳密なものまで様々あることだ。しっかりと使って行くには、簡単でもいいから、重要なところだけはルール決めしておく必要がある。例えば、上に述べた「業務フローに記載する情報システムの画面や帳票と、実際の画面・帳票は1対1対応させる」という原則などである。厳密なルールがあると習得が難しいし、アバウト過ぎるのもダメだ。これが、業務フロー適用の唯一の悩みどころと言える。
(執筆:山田一彦)
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