デジ☆ブログ第11回:「IT資源調達」を成功させるためのポイント

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概要

IT資源調達とは、これから導入するシステムがどんなものであるべきかを決めて、その担い手を決定することである。出来上がりが想像しにくいソフトウェアの特性をおさえたうえで、コストを抑制しつつ発注先との将来にわたる良好な関係を構築できるようにもっていくのがポイントだ。

IT資源調達とは

一般の人で「IT資源調達」と聞いて何をやるのかがすぐにピンとくる人は少ないだろう。ITを使った原材料や部品の調達だと思う人もいるかもしれない。

「IT資源」は、これから導入しようとする情報システムや、導入に伴い必要となるものを指すが、物だけでなくサービスやマンパワーなども含む広い概念だ。「調達」の意味は「金品などを必要に応じてととのえること」(大辞林)よりは、意味としては「注文すること」に近い。IT資源調達の手順は、大きく「要件定義」、「提案依頼」、「選定」の3ステップからなる。

要件定義とは何か

要件定義は、具体的にどのようなシステムや機能が必要かを決める-すなわち「定義する」-活動である。将来の、目指す業務の姿である「業務要件」に基づき、その中におけるシステムの役割、機能を明確にする「システム要件」を定義するのだ。

システム開発を社内で行なう場合は、このあとの提案依頼や選定は必要なく、すぐに開発工程に進むことになる。発注する先は自社の情報システム部門に決まっているからだ。

RFP、RFQ、RFIとは

外部の企業にシステム開発やシステム製品を発注する場合、要件定義をもとに、見積りや提案書の提出を求める「提案依頼」をおこなう。提案を求めるための文書を「提案依頼書」といい、RFP(Request For Proposal)とも呼ばれる。

単に見積りだけを依頼する文書を「見積り依頼書」、RFQ(Request For Quotation)という。また、ついでだが、ITベンダーが持っている製品の仕様や対応可能なサービスなどを問い合わせる場合は「情報提供依頼書」、RFI(Request For Information)を発行する。

提案依頼から発注先選定まで

提案依頼書には要件定義内容のほか、発注する際の契約条件、開発プロジェクトを進めるための条件、提案依頼から選定までの手続き、提案の評価・選定基準などを記載する。調達をおこなう会社では、あらかじめ適切な発行先ITベンダーをリストアップしておき、提案依頼書を発行する。

提案依頼書を受け取ったITベンダーは、内容を確認し、提案依頼書記載の手続き、様式に従って提案書を作成して提出する。

調達する側の会社では、ITベンダーからの提案を受けたら、必要に応じて説明をしてもらうなどして内容を確認する。提案内容、見積り金額を評価して発注先を選定する。

IT資源調達の成功条件とはどんなことなのか

以上が標準的なIT資源調達の概要である。情報システムを構築するには当然の過程ではあるが、「調達のとき、ああしておけばよかった」と、システムの導入が終わったあとで後悔することもある。

次のようなとき、「今回のIT資源調達は成功だった」と言えるのである。

  1. 必要にして十分な機能、信頼性、性能を持つ情報システムを調達できた
  2. 調達したシステムは今考えられるもっとも安いコストで調達できた
  3. システム開発、導入期間が予定通りであった
  4. システム開発、導入期間中、および、本番稼働したあとも担当ITベンダーとは相互に信頼し合い、良好な関係で取引している。

IT資源調達を成功させるためのポイント

上記をIT資源調達活動の評価指標にするとすれば、ここで留意すべきポイントは以下のようなことである。

  • 要件定義書は必要十分な要件を明確化している
  • 提案依頼では開発、導入、運用管理までを視野にいれた契約、取引条件を明示している
  • 適切なITベンダー複数社に提案依頼を行ない、競争原理による最適価格での見積りを受ける
  • 適切な提案評価を実施し発注先を選定する

では、逆に「失敗するIT資源調達」はどのようなものなのだろう。そう、上記の逆を考えてみればよいのである。

(執筆:山田一彦)


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