デジ☆ブログ第31回:カードワークは問題解決の基本だが必殺技でもある

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概要

親和図法、連関図法、系統図法など、問題解決には様々な手法があるが、多くの手法を進める基本となるテクニックとしてカードワークがある。重要性を理解した上で使用することで、各種手法の効果や効率も更にアップする。

問題解決を進める上での重要な要素

問題解決の過程というのは、原則として、既に誰かが経験的に知っている解決策を探すことではなく、問題の要因の構造を明らかにし、それを踏まえて解決のための策を考え出すことである。

このため、問題解決をおこなう過程においては、次の作業を効果的、効率的にできることが重要である。

  • 言語データの収集
  • 言語データの整理、総合
  • 検討過程の見直し
  • 参加者による集団としての創造力発揮

(1)言語データの収集

事実、意見、アイディア、観察した事象などを言葉にして書いたものを言語データと呼ぶ。要因究明、解決策立案など多くの場面において言語データを多く集めることは、十分な検討を行なう上で重要だ。

参加者一人一人に口頭で意見を言わせ、箇条書きでホワイトボードに書くのもいいが、一人一人にカードに書かせるほうがより多くのデータが収集できる。人前で意見を言わない人が多いからである。

(2)言語データの整理、総合

箇条書きにした言語データのなかで多少似たものをうまくまとめたり、総合して新たな意味を持つ言語データに変えたりするのは少々難しい。慣れが必要だろう。

カードデータであれば、似た内容のカードは近くに移動したり、同じ内容のデータは重ねたりすることができる。似た内容のデータを総合する新しいカードを追加することも容易にできる。

(3)検討過程の見直し

要因分析の連関図などで見直しをした際に、ちょっと論理的に飛躍がある2つのカードの間に新たなカードを追加したり、最初は離れて置いた2枚のカードに因果関係があることが分かって移動したりすることもカードならば容易にできる。

おかしな所は削除したり、見直ししたりしているうちに生まれた新たなアイディア、意見の追加と配置も楽だ。

(4)参加者による集団としての創造力発揮

しゃべる言葉は一度に一つのメッセージしか伝達できないので、聞いた人が、メッセージの断片をどう関連づけて理解しているかを他人が知ることは難しい。キャン バスに広げられたカード群を、参加者集団全員のバーチャルな頭脳の部分だと見れば、みんなが一つの頭脳を共有しているがごとくになる。同じ知識の前提に たって、要因分析や解決策発想の議論が行えるのである。

カードワークの基本

カードワークそのものは次のような、うまくやるための基本事項がある。

(1)カードワークの場

ホワイトボードに付箋紙を貼っておこなう、または模造紙に付箋紙を貼っておこなうのが研修などでのスタンダードな方法である。

周知を集めることは難しいが、一人で進める場合にはパソコンのEXCELなどのソフトを使って、図形に文字を書きこんだものをカードとして取り扱う方法もある。

(2)カードの作り方

  • カード1枚には一つのことを書く
    2つ以上のことを書くとそれぞれを個別に移動できなくなるので、カードにした意味合いが薄れてしまう。
  • 事実なのか、意見なのか、推測なのかを誤解しない表現とする

なぜ基本かつ必殺技なのか

カードでおこなうことが前提となっている手法がある。KJ法、親和図法である。もともとこれらは、断片のデータを収集し、それを目に見える形に広げて眺め、置き場所の移動とまとめをして、整理と総合をする。その過程で新たにアイディアを発想したり、カード間の関連を見いだしたりするための手法である。

上に述べたカードワークはほぼ、KJ法、親和図法と同様のカードの取り扱いをするので当然だが、言語データの整理、総合が容易になるとともに、新たな発想が生まれやすい。

また、カードは、連関図法、系統図法、ブレーンストーミングなどの手法との相性もいいため、カードワークは多くの問題解決のベーシックな進め方となっている。これにKJ法、親和図法的な良さも付加されるとすれば、必殺わざともいうべき効果の高い手法になるのである。

(執筆:山田一彦)

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